【2026年版】オープンソースLLM完全ガイド — Llama・Mistral・Qwen・Gemmaの選び方と活用法

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- 2 minutes read - 389 wordsはじめに:オープンソースLLMの黄金時代
2026年は、オープンソースLLMの黄金時代と言える年です。MetaのLlama、MistralAIのMistral、AlibabaのQwen、GoogleのGemmaをはじめとする高性能なオープンウェイトモデルが続々と公開され、その性能はクローズドモデル(GPT-4o、Claude等)に迫る、あるいは一部のタスクでは上回るレベルに達しています。
オープンソースLLMの最大の利点は、自社インフラでの運用(セルフホスト)が可能な点です。データの外部送信が不要でプライバシーが保たれ、API料金に依存しない固定コストでの運用が実現できます。本記事では、2026年の主要なオープンソースLLMの特徴を比較し、選定と活用のための実践的なガイドを提供します。
主要オープンソースLLMの比較
Meta Llama 3.1 / 3.2
MetaのLlamaシリーズは、オープンソースLLMの代名詞的存在です。
Llama 3.1:
- パラメータ数: 8B / 70B / 405B
- コンテキスト長: 128Kトークン
- 主な強み: 最大モデル(405B)はGPT-4oクラスの性能、充実したエコシステム
- ライセンス: Llama 3.1 Community License(商用利用可、月間アクティブユーザー7億人未満)
Llama 3.2:
- パラメータ数: 1B / 3B(軽量テキスト)+ 11B / 90B(Vision対応)
- 主な強み: 軽量モデルはモバイル・エッジデバイスで動作、Vision対応モデルで画像理解が可能
- 特筆点: 1Bモデルはスマートフォン上でも動作可能な超軽量サイズ
Mistral / Mixtral
フランスのMistral AIが開発するモデルで、効率性の高さが特徴です。
Mistral Large(123B):
- 多言語性能が特に優秀(フランス語、ドイツ語、スペイン語等)
- コーディング能力が高い
- 128Kトークンのコンテキスト
Mixtral(MoE: Mixture of Experts):
- 8x7B、8x22Bの構成
- MoEアーキテクチャにより、全パラメータの一部のみを活性化して推論
- 推論時の計算コストがパラメータ数の割に低い
ライセンス: Apache 2.0(完全にオープン、商用利用無制限)
Alibaba Qwen 2.5
中国Alibaba Cloudが開発するQwenシリーズは、日本語を含む多言語性能の高さで注目されています。
ラインナップ:
- Qwen 2.5: 0.5B / 1.5B / 3B / 7B / 14B / 32B / 72B
- Qwen 2.5-Coder: コーディング特化
- Qwen 2.5-Math: 数学推論特化
主な強み:
- 日本語性能がオープンソースモデルの中でトップクラス
- 幅広いサイズバリエーション
- Coder、Mathなどの特化型モデルが充実
- Apache 2.0ライセンス
Google Gemma 2
Googleが開発するオープンウェイトモデルで、Geminiの技術を活用しています。
ラインナップ:
- Gemma 2: 9B / 27B
主な強み:
- パラメータ数の割に高い性能(9Bモデルが13Bクラスの性能)
- Googleの研究成果を反映した効率的なアーキテクチャ
- 安全性への配慮が手厚い
ライセンス: Gemma利用規約(商用利用可、一部制限あり)
その他の注目モデル
- Microsoft Phi-4(14B): 小型ながら推論能力が非常に高い。教育・数学に強い
- DeepSeek V3(671B MoE): 中国DeepSeek開発、コスト効率が極めて高い
- Command R+(Cohere): RAGに最適化された設計
性能比較ベンチマーク
主要ベンチマークでの比較(2026年2月時点の概算):
| モデル | MMLU | HumanEval | MT-Bench | 日本語性能 |
|---|---|---|---|---|
| Llama 3.1 405B | 88 | 89 | 9.1 | 良好 |
| Llama 3.1 70B | 83 | 80 | 8.5 | 良好 |
| Mistral Large 123B | 84 | 82 | 8.7 | 優秀 |
| Qwen 2.5 72B | 85 | 86 | 8.9 | 非常に優秀 |
| Gemma 2 27B | 78 | 72 | 8.2 | 良好 |
| Phi-4 14B | 80 | 82 | 8.3 | 普通 |
※ベンチマークスコアは公開情報に基づく参考値です。
セルフホスト環境の構築
必要なハードウェア
| モデルサイズ | 推奨GPU | VRAM | 量子化(GPTQ/AWQ 4bit) |
|---|---|---|---|
| 7B〜8B | RTX 4060以上 | 8GB+ | RTX 3060(6GB)でも可 |
| 13B〜14B | RTX 4070以上 | 12GB+ | RTX 4060(8GB)で可 |
| 32B〜34B | RTX 4090 | 24GB+ | RTX 4070Ti(12GB)で可 |
| 70B〜72B | A100 80GB | 80GB+ | RTX 4090(24GB)で可 |
推論フレームワーク
vLLM:
- 最も広く使われているLLM推論フレームワーク
- PagedAttentionによる効率的なメモリ管理
- 高スループット、OpenAI互換APIを提供
- 商用デプロイメントの標準選択肢
llama.cpp / ollama:
- CPU推論にも対応した軽量推論エンジン
- GGUF形式の量子化モデルを使用
- ollamaはllama.cppのラッパーで、導入が非常に簡単
- 個人利用やプロトタイピングに最適
TGI(Text Generation Inference):
- Hugging Face開発の推論サーバー
- Dockerイメージで手軽にデプロイ
- ストリーミングレスポンスに対応
- Hugging Faceエコシステムとの親和性
デプロイの手順例(ollama)
ollamaを使えば、わずか数コマンドでローカルLLMを起動できます。
- ollamaのインストール
- モデルのダウンロードと実行(
ollama run llama3.1) - OpenAI互換APIが
localhost:11434で利用可能に
プロダクション環境では、vLLMをKubernetesにデプロイし、ロードバランサーで負荷分散するのが推奨構成です。
日本語LLMの選び方
日本語でのLLM活用では、モデルの日本語性能が特に重要です。
日本語性能の高いオープンソースモデル
- Qwen 2.5シリーズ: 中国語・日本語の学習データが豊富で、日本語タスクで最も安定した性能
- Llama 3.1/3.2: 多言語学習データに日本語も含まれており、良好な日本語性能
- Mistral Large: 多言語対応が優秀で、日本語も高い品質
- 日本語特化モデル: Elyza、CyberAgent、Preferred Networksなど日本企業が開発した日本語特化モデルも選択肢
日本語性能を向上させるアプローチ
- 日本語データでのファインチューニング: 自社の日本語データを使ったLoRA/QLoRA
- 日本語プロンプトエンジニアリング: システムプロンプトに日本語での回答を明示的に指示
- RAGとの組み合わせ: 日本語の知識ベースを参照させることで精度向上
コスト比較:セルフホスト vs API
セルフホストのコスト構造
オンプレミス(GPU購入):
- RTX 4090: 約30万円(7B〜70Bモデルに対応)
- A100 80GB: 約250万円(70B〜405Bモデルに対応)
- 電気代: 月額5,000〜30,000円
- 初期投資は大きいが、長期的には最もコスト効率が高い
クラウドGPU:
- A100 80GB: 時間あたり300〜500円
- H100: 時間あたり500〜800円
- 月額換算: 20〜60万円(24時間稼働の場合)
API利用のコスト構造
- GPT-4o: 入力$2.5/100万トークン、出力$10/100万トークン
- Claude Sonnet: 入力$3/100万トークン、出力$15/100万トークン
- 月額は使用量に比例(少量なら安い、大量なら高い)
損益分岐点の目安
月間のAPI利用料が10〜20万円を超える場合は、セルフホストのほうがコスト効率が良くなる可能性があります。ただし、運用の人件費やハードウェアの減価償却も考慮に入れる必要があります。
ライセンスの確認ポイント
オープンソースLLMの商用利用にあたっては、ライセンス条件の確認が不可欠です。
| モデル | ライセンス | 商用利用 | 主な制限 |
|---|---|---|---|
| Llama 3.1 | Community License | 可 | MAU 7億人未満 |
| Mistral | Apache 2.0 | 可(無制限) | なし |
| Qwen 2.5 | Apache 2.0 | 可(無制限) | なし |
| Gemma 2 | Gemma利用規約 | 可 | 一部制限あり |
| Phi-4 | MIT | 可(無制限) | なし |
| DeepSeek V3 | MIT | 可(無制限) | なし |
Apache 2.0やMITライセンスのモデルは商用利用に最も適しています。Llamaのコミュニティライセンスは大規模サービスでない限り問題になりませんが、規模が大きい場合はMetaへの確認をお勧めします。
ユースケース別おすすめモデル
汎用チャットボット
- 推奨: Qwen 2.5 72B or Llama 3.1 70B
- 理由: 日本語を含む多言語対応、バランスの取れた性能
コード生成・開発支援
- 推奨: Qwen 2.5-Coder 32B or DeepSeek Coder V2
- 理由: コーディングに特化した学習、高いHumanEvalスコア
RAG / ドキュメント検索
- 推奨: Command R+ or Qwen 2.5 32B
- 理由: RAGに最適化された設計、引用機能
エッジ / モバイル
- 推奨: Llama 3.2 3B or Gemma 2 9B(量子化)
- 理由: 軽量でデバイス上での動作に最適化
コスト最優先
- 推奨: Phi-4 14B(量子化)
- 理由: 14Bながら高い推論能力、単一GPUで動作
まとめ
2026年のオープンソースLLMは、性能・多様性・アクセシビリティのすべてにおいてかつてないレベルに達しています。プライバシー保護、コスト管理、カスタマイズ性の観点から、セルフホストのオープンソースLLMを選択する企業は増え続けています。
モデル選定にあたっては、自社のユースケース(汎用チャット、コード生成、日本語対応など)に合わせた評価を行い、ライセンス条件を確認した上で、小規模なPoCから始めることをお勧めします。ollamaを使えば、数分でローカルLLMを試すことができます。
オープンソースLLMのエコシステムは今後もさらに活発化していくでしょう。自社に最適なモデルを見極め、AI活用の主導権を自社で握るための第一歩として、ぜひオープンソースLLMの世界に飛び込んでみてください。
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